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中国全人代、「外商投資法」を可決、2020年1月1日から施行

发布时间:2019.03.26

第13期全国人民代表大会(全人代)第2回会議において、3月15日付け中華人民共和国の外国人投資法(以下、「外商投資法」)を審議・可決されました。2015年1月に商務部が中華人民共和国外国投資法(意見募集案)を発表されてから、4年間は動きがなかったが、昨年12月から急に審議が動き出して、今回はスピーディーに可決されました。そして、施行日の2020年1月1日を以て、現在の「外資独資企業法」、「中外合弁経営企業法」および「中外合作経営企業法」のいわゆる“外資三法”が廃止されることになります。

現在の“外資三法”は、中国の改革開放の初期に当たる1970年代と1980年代に、企業の形態に応じてそれぞれ制定されたもので、しかし、その後は1990年代に「会社法」は整備されたこと、また経済環境が大きく変わったことから、この“外資三法”は、内外国人の差別的な扱いや、その他の法律との矛盾などの点について、長年は非議されながらも、運用されていました。

そこで、更なる市場開放のスタンスを国内外に示し、それに伴うビジネス環境や法整備は不可欠と判断され、今回の「旧“外資三法”廃止、新“外商投資法”制定」の運びになりました。

このような背景の下で、今回新たに制定された“外商投資法”は、外資企業に係る基本法として、一先ず「内国人待遇」と「ネガティブリスト」を原則として定められています。これにより、外国資本によって中国で設立した企業にとって、従来の内外国人の異なった扱いが解消されるとともに、“外資三法”に基づく個別ケースの許認可制度も廃止され、通常の届け制度とネガティブリストに基づく許認可制度に変更されることになります。そのため、ネガティブリストに該当しない分野での外資企業の設立や運営などの自由化と円滑化が促進されることは期待されます【外商投資法第4条】。

また、新たな“外商投資法”は、政府の監督や規制の制限にも焦点を当てることによって、外国人を対象とした投資環境をよくしようとすることも、新“外商投資法”の評価すべきところであります。例えば、旧“外資三法”を根拠とした強制的な技術移転は、“意思自治の原則とビジネスルールに従って、詳細な条件は当事者間で公平平等の下で協議すること”はこの“外商投資法”によって取って変わり、更に、技術移転を強要する行政措置は禁止するものまで明文化されていました【外商投資法第22条】。

また、各地方条例が乱立され、地方政策は変わったりすることで外資企業に負担を強いられる現状を配慮して、地方条例の合法性及び地方政策の一貫性を義務として地方政府に課したことも評価に値するものであります【外商投資法第24条、25条】。

この“外商投資法”の成立は、改革開放の下で、貿易自由化と投資円滑化を促進したい中国政府の思惑は鮮明に映し出されています。しかし、この“外商投資法”は42条過ぎず、一般原則しか規定されていないので、今後は、実務レベルでの具体的な実施規則や細則などが、近いうちに制定されると予定されているようです。これら実施規則や細則の内容については、引き続き注意深く見守って行きたいと考えます。